ここは日本でも点在する細菌や化学物質を主に扱う研究所の一つ。
地下では非常に限られた少数精鋭での重要な研究がひっそりと行われている。
悪用されれば街や国だけではなく世界が滅びる、危険なもの。
だが、毒と薬は表裏一体。
世界を救うも滅ぼすもそれを人がどう使うかなのだ。
2030年8月19日。
辺りで空気が熱で揺らぎ、蝉しぐれが響き渡る。
そんな外界と隔離された、不気味なくらいに静かで徹底的に管理された空間。
その静寂は、突如けたたましい警音と共に切り裂かれる。