お弁当の香り、
遠くの金木犀の香り、
あと、お線香の香り。
両親に捨てられ、田舎町の寄宿学校に転校してきた坂入。
クラスメートは森本、杉尾、宇野、内藤、そして森本達からいじめを受けている原の5人の女生徒だけだ。
「はじめまして。突然のお手紙、そしてそれをこんなふうに折ってしまったこと、どうぞお許しください」
ある日、内藤の元に「S」という男から手紙が届く。鬱屈した学校生活にうんざりした坂入は、誰にも内緒で「S」に手紙を書きはじめる。
そして、内藤に恋をする「S」との秘密の文通が続く中、突然坂入と原以外のクラスメートが失踪する・・・。
「わたしたちは、絶対に、生きていこうね」
お線香の匂いに包まれた、少女たちの春からクリスマスまで。